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Notionで「やりたいこと」を管理する【えりなさんインタビュー】
Notion 達人図鑑とは、日頃から Notion を使い込んでいる「 Notion の達人」にどのような使い方をしているのかをインタビューし、活用法を紹介するシリーズです。
Notion はカスタマイズ性も高く、自由に作りこめるのが魅力です。それゆえに個性が出やすいのがホーム画面。だからこそ、他の人のホーム画面ってちょっと気になりませんか。
Notion 大学では「ホーム画面を深ぼる会」という勉強会を開催しています。「深ぼる人」と「深ぼられる人」が二人一組になり、「深ぼられる人」の Notion のホーム画面を見ながら、あれこれ深く掘り下げつつ、学びを深めるというもの。
今回は Notion 大学のメンバー、えりなさんの「ホーム画面を深ぼる会」をお届けします。最初は、おしゃれな画面に釘付けでしたが、それ以上に、それぞれのデータベースに込められた人生観が深く、みなさんの Notion 熱を高める結果となりました。
ホーム画面の変遷
ーー えりなさん、よろしくお願いします。早速ですが、ホーム画面を見せていただけますか。
ーー 色使いなど、全体的にとてもおしゃれですね。
ありがとうございます。
以前は、ホーム画面を作っていたのですが、今は基本的に、すべてサイドバーで管理しています。ここから、見たいページと使いたいページに飛ぶようになっています。スマホで見たときに、ちょうどホーム画面のような見え方になります。
各ページへのリンクが設定してあるので、スマホでも操作しやすい仕組みです。各ページで管理する内容はトグル方式にして、それぞれのデータベースに必要な情報を入れています。
ーー ホーム画面を作って管理していたところから、サイドバーに移行した経緯について詳しく教えてもらえますか。
以前のホーム画面はこちらです。
昔は、1ページでいろいろ見えた方がいいなと思っていたので、「仕事」「夢」「Instagram」など、カテゴリーごとにわけていました。
でも、それぞれがゴチャゴチャになってしまう感じがあって。
ジャンルで分けるよりも、タスクならまとめてタスク管理、メモはメモと分類した方がやりやすいかなと感じるようになったので、今のスタイルになりました。このスタイルにしてみたら「ホーム画面はいらないな」と感じるようになって、サイドバーへ移行していきました。
ホーム画面の構成
ーー 全体の構成を教えてもらってもよいでしょうか。
私にとって Notion は、自分の状態を俯瞰して確認するためのツールです。なので、それに合わせた大まかなカテゴリーを作り、それぞれにデータベースで管理しています。
今は「自分の幸せについて考えるデータベース」「プロジェクトやタスク管理」「自分の行動・感情の記録」「Zettelkasten を用いたまとめページ」「読書記録」などでまとめています。一番上のデータベースは、幸せに関することです。
プロジェクトやタスク管理も1つのページとして、独立させています。
「Review & Mood」では、行動を起こした後の評価や自分の感情を記しています。
4段階で評価していて、そのときに感じた気分をその都度選ぶ仕組みです。大きく「ネガティブなのかポジティブなのか」、さらにポジティブの中にも何種類かあって、それを記録したものを集計するページです。
「My Data」は、自分に関するデータを集めているページです。例えばストレングスファインダーの結果とか、何か診断した結果を置いておいたり。本読んだときのワーク自己分析したものを置いてみたり。このページは、試行錯誤しながら、まだ進化中です。
次に Zettelkasten のデータベースを置いています。※ Zettelkasten については、下記の動画で詳しく解説しています。興味ある方はぜひ合わせてご覧ください。
ブックリストも現在、作成中です。
ビジュアル重視、テンションが上がる要素を大切に
ーー 早速、僕の気になったところを深掘りさせてください。ページの一番上にある「短期的 “Shiawase” 」というのは、具体的にどのような内容なのでしょうか。
幸せには「短期的なもの」と「長期的なもの」があると思っていて。「短期的 “Shiawase”」は、一瞬の幸せ、ご褒美のようなものを管理しています。一方で「長期的 “Shiawase” 」は人生の方針、行動計画を管理しています。
左上の「RULE」の部分にこのページの説明を記載しています。実は、Notion を作成する前に、自分の実現したい「幸せ」について考えたマインドマップを作成しました(「短期的 ” Shiawase ” 」の内容右側)
その中で、なにが「短期的 ” Shiawase ” 」に該当するだろう?と考えて、「 Wish リスト・行きたい場所・欲しいもの・推し活」がそれに当たるかなと。それぞれを1年に1回(年末年始)、1ヶ月に1回(月末)、時期を決めて見直すルールを設定しています。
「やるべきこと」や「やらなきゃいけないこと」は、プロジェクトやタスクへ入れて、こちらのリストとは分けています。ちなみに、リストの内容は「周りに宣言する」ということを大事にしていて。行動する環境づくりや宣言することによって、協力者が現れたり、助けてくれる人がいたりなどの過去の経験から、結構そこを大事にしています。
あとは、好きな画像を入れ込んだり。
ーーそういう発想はなかったので、とても新鮮です。確かに画像で入る情報はイメージしやすいですよね。ちなみに文字は「緑の背景に青」など、ルールがあったりするのでしょうか。
色や画像には結構こだわりがあって。ページを見てテンションが上がるように、好きな画像とそれに合わせた配色を考えています。ただ、難しい配色ルールなどではなく、画像に合わせてほぼ感覚で選んでいます。
ーー直感で選んでいらっしゃるとのことですが、すごくセンスを感じます。
ビジュアル重視というか、「視覚で楽しむ」ということを大切にしています。
このページには、よく使う順番にデータベースを並べていますが、アイコンと色はタイトルに合わせて自分が思うイメージで選んでいます。あとは、視認性を意識して、「&」や「記号」を入力するときは前後に半角スペースを入れるようにしています。「行きたい場所」はギャラリービューを使用してみたり。
毎月1回「やりたいことリスト」をメンテナンス
ーーなるほど。そのような使い方があるのですね。勉強になります。普段のメンテナンスは、どのように行われているのでしょうか。
今は、「やりたいことリスト」を1ヶ月に1回更新しています。
このように、データベースが月ごとに分かれているので、その月で「やれたらやろう」というちょっとゆるい感覚でやっています。「やらなきゃ」みたいなものではなく、ハッピーな感覚を大切にしています。
例えば、「リビング用のテーブルが欲しい」と思ったら、ここにひとまず記入しておいて。もし、5月ぐらいに家具のお店がオープンするという情報があったら、それに合わせて、リストの5月に移動するとか。そんな感じで、ゆるく更新しています。
ーー やりたいことリストのところは「ワクワク感を重視している」ということでしょうか。
そうですね。ここには、別にやってもやらなくてもいいことを入れていて。あったら嬉しいけど、必ずやらなきゃいけないものではなく。「何かを達成するために必要な作業」はタスクリストへ入れています。
このリストはあくまでも「できたらいいな」というくらいのゆるい感覚です。実現可能性を度外視して、目的も明確なものではなく「なんとなくやりたいこと」が入っています。
ーーちなみに「やりたいことリスト」の上にあるゾーンは、どんな活用方法なのでしょうか。
これは、下にあるデータベース(「やりたいことリスト」)とリレーションしています。昔は、カテゴリーをプロパティセレクトにしていたのですが、最近は達成率やカテゴリーごとの振り分けが気になったので、そちらを見える化するようにしました。
例えば、趣味・体験は66個あるのに、貢献(他人・社会)は2個しかないなど、自分を客観的に見る指標として活用しています。
ーー これはすごく面白いですね。「やってみたい」と思う方が多いんじゃないかと思います。ワクワク感とは違う「やるべきタスク」は別のデータベースで管理されているんですね。
こちらのデータベースは円谷さんに教えていただいたものをベースにしていて。「やらなきゃいけないこと」なので「やりたいことリスト」とは違ってあまりテンションは上がらないので(笑)。別のデータベースで管理しています。
「幸せとは何か」からアイデアを広げる
ーー 最後に、えりなさんの中でイチオシのページを教えていただけますか。
一番よく見るのが「Review & mood」というページです。
このページも、ルールを決めて運用しています。
簡単にいうと「自分がどういう気分なのか」を客観的に見えるようにしたものなのですが、タスクややりたいことリストなど、毎日の振り返りの時に自分の感情を記すようにしています。「緊張」「疲れた」「イライラ」など、1日を振り返ってどんな気分だったかを記録します。
感情を集約したものが、List(一覧)です。
データが集約されることによって「どういう時に疲れるのかな?」とか、ネガティブな気持ちになるのかがわかるようになってきました。
逆にスムーズにできることも記録していて。
自分ができることなので、次も安心して取り組めるな、ということを目で確認できます。
振り返りの部分は、コメントを見えるようにしているのも理由があって。例えば、「疲れた」というページを見たときに、自分が何で疲れたのかなどをすぐに分析できるんです。このリストのおかげで、苦手なことや疲れやすいことなどは誰かにお願いするなど、次の動きを検討しやすくなったので、作ってよかったなと思っています。
……こういうのを眺めながらニヤニヤしています。
ーー 素晴らしいですね。いろんなページを生むアイデアはどこからでているのでしょうか?
このマインドマップが元になっていて、これは 「幸せのメカニズム」という本がベースになっています。
幸せの四つの因子
●「やってみよう!」因子
●「ありがとう!」因子
●「なんとかなる!」因子
●「あなたらしく!」因子
これを自分に置き換えたら、何になるかな?と思ってマインドマップに落とし込んでみました。
それを Notion にアウトプットしていった形です。
例えば「やってみよう」なら「具体的な行動を決めること」と「実際に行動したことを管理する」ページが必要だな、など段階的に考えて作成しています。そして、着手したらチェックボックスにチェックを入れるようにしています。
アイデアを生み出すには「何のために Notion を使うのか」ということを明確にするのが一番大切かもしれません。例えば、生活を楽にするためなら何をしたらいいのか、料理をラクにしたいならレシピのページを作るなど。
自分の理想の状態とそうなるためにどうしたらいいのかを考えて、Notion を構築しています。
ーー 素敵な考え方ですね。えりなさん、今回はありがとうございました。
ホーム画面を深ぼるといいながら、えりなさんの人生観を深く掘り下げる会になった今回。
「自分にとっての幸せと何か」という観点から、Notion が構築されていく手法は、とても興味深いものがあり、新たな気づきを得られました。Notion 大学内では、初心者から上級者向けまで、さまざまな学習コンテンツを公開中。Notion 好きな方との横のつながりもできます。
気になる方はぜひ Notion 大学に参加してみてください。次回の「Notion 達人図鑑」シリーズもお楽しみに。